●国税庁が取引相場のない株式の相続税評価の仕方を改正。中小企業の税負担を軽減

平成 28 年度与党税制改正大綱に盛り込まれていた「取引相場のない株式の評価の見直し」を受け、このほど国税庁が「財産評価基本通達」の改正を行ないました。中小企業の経営者の相続税が軽減されています。

 

 中小企業が発行する株式は税務上「取引相場のない株式」と呼ばれていて、経営者にとってはその株式に課税される相続税は、事業承継の場面で死活問題に発展することがしばしばあります。

 取引相場のない株式の相続税評価方法は、国税庁の「財産評価基本通達」に定められていて、法律ではなく国税庁職員向けの税務の取扱いという形で規定されています。この評価方法について平成28年度与党の税制改正大綱で見直すように指示が出され、平成 29 年度税制改正大綱で、より実態に即した評価方法への見直しが行われました。

 取引相場のない株式の相続税評価は、評価対象会社の会社区分(大・中・小)に応じて純資産価格で評価するものと、類似業種の上場会社の株価を参考に評価する方法(類似業種比準方式)が取り入れられています。今回は、比較対象となる上場会社の株価並びに配当、利益及び純資産という比準要素について、適切なものに変更されました。

 具体的には、類似業種比準方式では配当、利益、純資産の比重は1:3:1で計算されていましたが、今回の改正により、配当、利益、純資産の比重が1:1:1とされました。これにより、利益の比重が「5分の3」から「3分の1」と小さくなり、利益が株価に与える影響が少なくなるので、多額の損失を計上しても、以前ほど株価が下落しない可能性があります。

また、純資産の比重が「5分の1」から「3分の1」と大きくなるため、社歴が長く、内部留保の多い会社については、株価が上昇することが考えられます。

次に、類似業種比準価額方式による株価算定の基となる、類似業種の株価(上場会社の平均)は、これまで前月、前々月、前々月の前月、前年平均の株価が用いられていましたが、改正により、「前2年平均」が追加されることになりました。この改正により、上場企業の株価の急激な変動が、中小企業の株価の与える影響は小さくなることが予想されます。

さらに、取引相場のない株式の評価は、会社区分(大・中・小)に応じ、類似業種比準方式または純資産価額方式、もしくはそれらの併用方式で計算されることになっていますが、評価会社の規模区分の金額等の基準の見直しにより、大会社及び中会社の適用範囲が拡大されることになりました。

この会社区分の変更により、より大きな会社区分に該当することになれば、類似業種比準価額の割合が上昇し、株価が低くなる可能性があります。